もう一つの学校

 元の世界に戻った雅は、階段を駆け降りる。
 早く2人に会いたい。
 すると、そこには2人が待っていた。
 ジョウとヤマトだーー。

「雅ちゃん!」

 ヤマトに抱きつかれ、雅は「ヤマト、近いわ」とギュッと力を込められた腕から必死に離れた。

「ほんとによかった……! どうなることかと思ったよ」
「ヤマト、ごめんね」

 ヤマトは、ほっとしたのか、ヘナヘナっとしゃがみ込む。
 2人とも相当心配しただろう。

「ジョウ!」

 雅が今度はジョウに駆け寄る。
 ジョウに会えたのが、嬉しくて仕方なかった。
 でも、なにかおかしいーー。
 いつもの雰囲気と少し違う気がする。

「どうしたの? ジョウ」

 雅は抱きつきたい気持ちを必死に堪えて、ジョウの手をやさしく握った。
 すると、次の瞬間。

「……お前、誰?」

 ジョウが冷たい目で雅を見て言った。
 ジョウのそのひと言に、雅の顔から笑顔が消えた。
 雅は数年ぶりに笑ったその日に、好きな人の記憶から消えたのだ。