蛍の泣き声


我ながらクサイ台詞やとは思うし、騙すようで少し申し訳ない気持ちもあった。

でも…
言うてるうちに、ほんまにそんな気がしてきてん。

「心に流れて来た音な、なんとなく寂しそうな音やんか?」

「……。」

真剣に聞く陽に俺は語りかける。必死になっていた。どうしても、陽に聞かせてやりたかった。

「自然の音を通して、きっと蛍は泣いてるねん。」

「…ほんまに?」