推しがわたしのファンでした

「ただいま」
帰宅部の帰りは早い。

部屋には漫画が詰まった大きな本棚が二つ、勉強机と棚、ベッドがある。女の子の部屋にしては可愛い要素が少ない気もするけど、まあいいかと思って今日にいたる。
あんまり教科書の入っていない軽いバッグをベッドわきに置いて、パソコンを立ち上げた。

SNSに新作の四コマ漫画をUpした。
「よし。今週も更新出来た!」
パソコンを閉じる。

私のアカウント名は月海月(つきくらげ)。
四コマ漫画『あーにゃんの日常』では子猫あーにゃんのシュールな日常を描いている。
あーにゃんがアイドルユニットぶるーすたーずのakiyaをモデルにしてるのは秘密だ。まあ、言う相手もいないんだけど。

ちょっとドジな子猫のあーにゃんがシュールな日常をおくる、可愛いかわいそうな四コマ漫画は自己満足で描いている。だから見てくれる人が多くなくても、それなりに満足している。でも、やっぱり『いいね』が付けば嬉しいし、コメントをもらうと嬉しくてジタバタしてしまう。

机の上に置いていたスマホから、ピコンって音がした。
「え? もう『いいね』ついたの!? って、きなこどうふさんだ!」
きなこどうふさんは、『きょうのあーにゃんも可愛い。いつも癒されてます』とコメントしてくれた。
「ありがとう!」
私は机に突っ伏してにやけ笑いをかみ殺す。

きなこどうふさんは、一か月くらい前から私の描いた『あーにゃんの日常』シリーズに必ず『いいね』をしてくれる。ときどき『可愛すぎる』とか『癒されました』とかコメントもくれる、たった一人の貴重なファンなのだ。

『いつもありがとう! また新作頑張ります!』と返信して、スマホを充電器に置いた。