「第一王子殿下に……ヘッドスパを?」
グランツの言葉に、シエラは目を丸くした。
「ああ」
グランツは頷き、手にしていた紅茶をひと口飲む。
今日は大事な話がある――そう言って、グランツは直々にミューゼル公爵邸を訪れていた。
そして告げられたのは、第一王子アーヴィンへの施術依頼だった。
(確か……“暴君”って呼ばれているとか)
シエラの隣で、テオドアが口を開いた。
「やはり、アーヴィン殿下にも魔力過多による症状が?」
「そう考えられている」
グランツは、重く息を吐いた。
「ここ数年、魔力過多と思われる不調が続いている。医師も治癒魔術師も、魔力調律の使い手も診たが、ほとんど改善しない」
「魔力調律でも……?」
「一時的に多少楽になることはあるらしい。だが、すぐに元へ戻る。それどころか、ここ最近は明らかに悪化している」
改めて、グランツがシエラに向き直る。
「そこで、夫人の出番というわけだ」
「私のヘッドスパを、アーヴィン殿下にも試してみる……ということですか?」
「ああ。夫人のやり方は、通常の魔力調律とは違う」
グランツはまっすぐシエラを見る。
「何をしても改善しない以上、試せるものは試したい。王宮側も同じ考えだ」
いずれ、同じように困っている他の人にも力を貸してほしいと頼まれてはいた。
まさか、その最初の相手が――この国の王太子になるなんて。
(いきなり、責任重大すぎるわ……!)
王族を相手にするなど、考えただけで緊張する。
それでも、自分が助けになれる可能性があると聞けば、断る気にはなれなかった。
「……分かりました。私にできることがあるなら」
そうして数日後、シエラはテオドアとともに王宮を訪れることになった。
「そんなものは必要ない」
第一王子アーヴィンとの対面は、予想以上に険しいものになった。
案内された執務室の奥で、アーヴィンは机に向かっていた。
積み上げられた書類へ目を通していたらしく、シエラたちが入室しても顔すら上げようとしない。
グランツの言葉に、シエラは目を丸くした。
「ああ」
グランツは頷き、手にしていた紅茶をひと口飲む。
今日は大事な話がある――そう言って、グランツは直々にミューゼル公爵邸を訪れていた。
そして告げられたのは、第一王子アーヴィンへの施術依頼だった。
(確か……“暴君”って呼ばれているとか)
シエラの隣で、テオドアが口を開いた。
「やはり、アーヴィン殿下にも魔力過多による症状が?」
「そう考えられている」
グランツは、重く息を吐いた。
「ここ数年、魔力過多と思われる不調が続いている。医師も治癒魔術師も、魔力調律の使い手も診たが、ほとんど改善しない」
「魔力調律でも……?」
「一時的に多少楽になることはあるらしい。だが、すぐに元へ戻る。それどころか、ここ最近は明らかに悪化している」
改めて、グランツがシエラに向き直る。
「そこで、夫人の出番というわけだ」
「私のヘッドスパを、アーヴィン殿下にも試してみる……ということですか?」
「ああ。夫人のやり方は、通常の魔力調律とは違う」
グランツはまっすぐシエラを見る。
「何をしても改善しない以上、試せるものは試したい。王宮側も同じ考えだ」
いずれ、同じように困っている他の人にも力を貸してほしいと頼まれてはいた。
まさか、その最初の相手が――この国の王太子になるなんて。
(いきなり、責任重大すぎるわ……!)
王族を相手にするなど、考えただけで緊張する。
それでも、自分が助けになれる可能性があると聞けば、断る気にはなれなかった。
「……分かりました。私にできることがあるなら」
そうして数日後、シエラはテオドアとともに王宮を訪れることになった。
「そんなものは必要ない」
第一王子アーヴィンとの対面は、予想以上に険しいものになった。
案内された執務室の奥で、アーヴィンは机に向かっていた。
積み上げられた書類へ目を通していたらしく、シエラたちが入室しても顔すら上げようとしない。


