今夜も執事は、お嬢様を手放さない

小さい頃からずっとそばにいてくれる、優しくて頼りになる執事。少し厳しいけれど、いつだって自分を助けてくれる人。それが、ことはの知っている東雲碧だった。

「おはようございます、お嬢様」

 ベッドのそばまで来た碧が、恭しく一礼する。

 ことははぼんやりした頭のまま、ふにゃりと笑った。

「おはよぉ、碧……」

「本日もよくお休みになれましたか」

「うん……たぶん……」

「たぶん、でございますか」

 わずかにおかしそうな声に、ことははのろのろと上半身を起こす。けれど次の瞬間、眠気に負けてまた前に倒れそうになった。

 すると碧が素早くその身体を支える。

「おっと。危のうございます」

「ありがと……」

「礼を言う前に、まずは目を覚ましてくださいませ」

「まだちょっとねむいの……」

「そのようですね」

 碧はため息をつくふりをしたが、その目はどこかやわらかい。ことははそのまま彼の腕に少しだけ寄りかかった。