私の運命の人

「明日の朝、六時半に来ます」

そう言い残して先生が帰って行き、私は授業の準備をしてから軽くシャワーを浴びてベッドに入る。
うとうととまどろんでいると、またしても先生の後ろ姿が脳裏に浮かんだ。

(先生……)

頭の中ではそう思っていたのに、夢の中の私は「いっくん!」と幼い声で呼んだ。
振り返ったその人が、私を見て微笑む。
駆け寄ってその腕の中に飛び込んだのは、五歳の私だった。

ハッと私は目を覚ます。
心臓がドキドキとうるさく高鳴っていた。

(いっくん? 先生が?)

夕食の時、真剣に「うっとうしいとは思いますが、せめてあと一日、送り迎えをさせてもらえませんか?」と言っていた先生の眼差しを思い出す。
あの日以降眼鏡をかけなくなった先生の、真っ直ぐな眼差し。
フィルターが外れたように、その瞳の奥の優しさが直接胸に伝わってきた。

(あの瞳は忘れない。先生は……いっくんだ)

私はようやくそう確信した。