私の運命の人

「捻挫ですね。レントゲンの結果も骨には異常ありませんでした」

連れて来られた整形外科で、私はそう診断される。

「軽度ですが油断せず、一週間は安静にしてください」

すると隣から三十木先生が尋ねた。

「仕事があるのですが、大丈夫でしょうか?」
「そうですね。休めればいいでしょうけど、そうはいかないのならサポーターで固定しておきます。なるべく歩き回らないように気をつけてください」

三十木先生は「はい」と神妙に頷いた。
かと思うとまた顔を上げる。

「松葉づえをお借りすることはできますか?」

大げさな話だと私は驚くが、先生の表情は真剣だ。

「大丈夫ですよ。左足は問題ないので一本お貸ししますね」
「はい、お願いいたします」

サポーターで固定してもらうと、松葉つえの高さを調節してもらい、使い方を習う。

「左手で持ってくださいね。松葉つえと右足を同時に前に出して、それから左足を出します。腕で体重を支えながら、そうです」

少し歩く練習をしてから、お礼を言って診察室をあとにした。

「あの、先生。すみません、こんなことになってしまって」

お会計を待つ間、私は小さく三十木先生に頭を下げる。

「謝るのは僕の方です」
「どうしてですか?」
「捻挫は冷やすのが基本なのに、夕べ君を湯船に浸からせてしまった。だから悪化したんだと思う」
「そんな!それは私がわがままを言ったからです。先生のせいなんかじゃありません」
「だけど止めるべきだった。そんなに酷くないだろうと甘く見ていた自分が悪いんです。ごめん。責任を持って早く治るようにサポートするから」
「いえ、まさかそんな……」

その時「三嶋優里さん」と呼ばれて三十木先生は立ち上がる。

「はい」
「お会計をあちらの精算機でお願いします。どうぞお大事に」
「わかりました。ありがとうございました」

先生はお財布を出そうとする私に首を振って、代わりに支払いを済ませてくれる。
そして再び車まで私を運び、アパートに送ってくれた。