私の運命の人

大学の後期が始まり、私はまた毎日朝から夕方までみっちり大学で勉強する。
坂井くんのいないバイト先で真由子さんとおしゃべりしながら働き、帰宅するとレポートを書いた。
忙しい日々は飛ぶように過ぎ、年が明ける。
後期試験が終わり、英検準一級にも合格してホッとした頃、坂井くんから電話で嬉しい報告があった。

「えっ、京都大学の工学部?」
『そうなんすよ。ちょっと背伸びして受けたら受かっちゃって、せっかくだから行こうかなって』
「それはもう! 行かなきゃだめよ、行きなさい」
『ははっ、わかりましたよ、お母さん。いい加減離れた方がいいと思ってたからちょうどいい』
「お母さんと?」
『ぶっ、マジで言ってんの? そうそう、優里お母さんと』

私は返す言葉に詰まる。

『まあね、いつまでも女々しいこと言ってらんないし、心機一転がんばるわ』
「うん、私も負けていられない」
『だな。あ、そうだ。真由子さんに謝っといて。バイト復帰するって言ったのに無理そうだからさ』
「そうだね。でも真由子さんのことだから、夏休みとか帰省した時だけでも入ってって言いそう」
『ははっ、そんなんでいいなら喜んで』

少しの沈黙のあと、私はスマートフォンを握り直した。

「坂井くん、今までありがとう。京都に行っても元気でね」
『こちらこそ。先輩もがんばれ。あと、案外しょっちゅう会えると思う。生徒会の同窓会にも顔出すし』
「そっか。また会えるのを楽しみにしてるね」
『ああ。早く彼氏作りなよ? 俺の為にも』
「坂井くんこそ。関西の面白い彼女連れて帰って来てね」
『京都の女子は強いって聞くからなあ、大丈夫やろか?』
「その変な関西弁はだめだと思う」

やっぱり?と坂井くんが言って二人で笑う。
最後はもう一度「元気でね」と心からのエールを贈って電話を切った。