「ふぁ⋯⋯ねむ」
「⋯⋯紅葉あんた、昨日は何時に寝たのよ」
教室の隅っこで一人あくびを噛み締めていると、その安らかな時間はすぐに壊されてしまった。
この唯一の親友によって。
「んー⋯⋯寝たのは、今日の三時かなあ⋯⋯?」
「はあ!? 言ったわよね、人間らしい生活を送ってって!!」
「大丈夫だよ、倒れてないからっ」
「そういう問題じゃないわよ⋯⋯」
栞里ってば⋯⋯私のお母さんみたい。
私のことを心配して言ってくれるのはわかってるけど、そんなに心配しなくても大丈夫なのに⋯⋯。
私の目の前で仁王立ちしている彼女は宮沢栞里。
私の幼馴染み兼親友だ。
⋯⋯そして、私の唯一の友達でもある。
人見知りだからなのか、人が寄らないからなのか。
私には友達を作る機会というものがない。
「まったく⋯⋯今大ブレイク中の現役学生作家、詠月楓琳の正体がこんなにもだらしない少女だって知れ渡ったら、世間は黙っていないでしょうね」



