放課後の特別授業は溺愛です、先輩。

「___恋愛小説、ですか?」


「はい! 詠月先生はまだ青春系やファンタジーしか出したことがないですし、読者様からのリクエストでもやっぱり、一番多いのが恋愛でして。

新たなジャンルの挑戦としてどうかなと」



ここは学校の近くにある小さなカフェ。

あまり人が来ないから、よく担当編集者さんとの軽い打ち合わせの場所として使っているんだ。

そして、今提案してくれたのが私の担当編集者さんである望月さん。

まだ二十代後半のお若い人で、いつも肩まである黒髪を少し巻いているおしゃれな人。



「そうですね⋯⋯」



一応返事はしてみたものの、心の中には不安の文字が残っていた。

恋愛小説、なんて⋯⋯。

私、初恋がまだなのにっ⋯⋯!



年齢イコール恋愛できていない歴なんて、恥ずかしすぎて望月さんに言えない⋯⋯。



「あっ、もちろん、実際に経験した恋愛からインスピレーションを受けて書く作家さんもいれば、完全にフィクションで書く作家さんもいますし。

ほら⋯⋯逆ハーレムものだとか」