放課後の特別授業は溺愛です、先輩。

本以外の世界は、ほとんど知らなかった。
だって、本はすべてを教えてくれるから。


⋯⋯だから、誰もいなくて本へ逃げられるこの部活を選んだのに!


「ぇ、あの、先生、今なんておっしゃいました⋯⋯?」

「だからな、詠野⋯⋯文芸部、廃部寸前なんだよ」

「はいぃ!?」


知らぬ間に廃部寸前の危機に!?



「せんせー。これ、よろしくね」

そんなときに現れた救世主の後輩は⋯⋯
⋯⋯まさかの、陽キャ(※敵)でした。

大きな窓から差し込む、眩しい夕陽。
おしゃれの欠片もない、大きな本棚に、机と椅子。
そこにポツンと座っている、陽キャの後輩と、人見知り本オタクの私。

会話を重ねるごとに、仲が深まる私たち。
でも、彼の推し作家が自分であることが発覚しちゃった!?



「今日から僕が先輩の恋愛の先生ってことで」



蜂蜜のようにとろけた甘い声。
爽やかに揺れている金色の髪。
何もかも吸い込んでしまいそうな、青緑色の瞳。
女子なら、誰もが好きになってしまいそうな、絶世の美少年。



「僕に恋してくれてもいいんだよ?」

「残念ながら、ファンと恋愛をするような作家では無いから」

「ふーん。まあ先輩、”恋愛偏差値ゼロ”だもんね」

「ブフっ!?」



こんな生意気で意地悪な後輩に、恋なんてしてやるもんですか!



「貴女があの、詠月楓琳なのか⋯⋯? このポンコツ娘が?」

「紅葉先輩、一緒に寝よー? それか本の感想会でも開く?」

「かわいくて真面目な優等生の紅葉は、こんな部室でサボったりしないよね?」

「ドジしすぎ。⋯⋯まあ、それを全部カバーするのが僕の仕事だけど」



⋯⋯あれ、なんか人増えてません?


___これは、天才だけど恋愛経験ゼロなドジっ子作家と、本が大好きな男子集団との、ちょっぴり変わった恋のお話。