最強男子の過保護な溺愛が止まりません!

「最初は気になっただけだった」

「……はい」

「お前の母親のこともあったし、危なっかしくて放っておけなかった」

 やっぱり最初はそうだったんだ。
 でも今は、その先を話してくれる気がした。

「でも、途中で変わった」

 先輩の声が少し低くなる。

「お前が泣くと苦しいし、笑うと安心する」

「……っ」

「誰かに近づかれると腹が立つ」

「それは、知ってます」

「知ってるなら話が早い」

 そんな言い方ずるい。
 でも、先輩らしくて少しだけ笑いそうになる。

「守るだけじゃ足りないって思った」

 その一言に、呼吸が止まりそうになる。

「ずっと隣にいたい」

 やわらかい夕日が、先輩の横顔を照らしていた。
 きれいで、でも少しだけ不器用で、まっすぐで。

「胡桃」

 先輩が、いや。
 仁が、静かに言う。

「好きだ」

 胸の奥が大きく揺れる。

 ずっと聞きたかった言葉。
 でも、いざ本当に向けられると、うれしすぎて苦しい。

「俺と、付き合ってほしい」

 だめだ。
 涙が出そう。
 最近泣いてばっかりだ。

「……返事は」

 仁が少しだけ眉を寄せる。

「急がなくていい」

「ずるいです」

「何が」

「そうやって、余裕あるみたいに言うところです」

「余裕はない」

「え?」

「かなりない」

 その即答に、思わず目を丸くする。

「今も、断られたらどうしようかって考えてる」

「……そんなふうに見えません」

「見せないようにしてるからな」

 少しだけ口元がゆるむ。
 もう、ほんとにずるい。

 でも。
 そんな仁だから、好きになった。

「……私も」

 声が震える。
 それでも、ちゃんと伝えたい。

「私も、好きです」

 先輩の目が、わずかに見開かれる。

「最初は怖かったです」

「知ってる」

「今もたまに強引すぎるし、過保護だし、すぐ独占しようとするし」

「悪かったな」

「でも」

 私は立ち上がって、仁を見上げた。

「そうやって守ってくれたのが、すごくうれしかった」

「……胡桃」

「私も、隣にいたいです」

 言えた。
 ちゃんと言えた。

 次の瞬間、仁が息をつくように笑った。

「それ、反則だろ」

「え?」

「今すぐ抱きしめたくなる」

「……い、いいです」

 言った瞬間、自分で自分に驚いた。
 でも、もう引っこめたくなかった。

 仁の目がやわらかく揺れる。

「ほんとに?」

 私は恥ずかしくてたまらないまま、それでも小さくうなずいた。

 すると仁は、壊れものに触れるみたいに、そっと私を抱きしめた。

 あたたかい。
 安心する。
 でも同時に、胸がいっぱいになる。

「……やっと」

 仁の声が、耳元で低く落ちる。

「正式に俺の隣にいてくれるんだな」

「その言い方はちょっと引っかかります」

「もう遅い」

「遅くないです」

「遅い」

 少しだけ強く抱きしめられて、私は思わず笑ってしまう。

「仁」

 勇気を出して、初めて名前を呼ぶ。

 腕の力が、一瞬だけ止まった。

「……もう一回」

「え」

「今の、もう一回」

 顔が熱い。
 でも、うれしそうな声をされたら断れない。

「……仁」

「やばい」

「やばいって何ですか」

「嬉しすぎる」

 そんなふうに言われたら、私だってもう無理だ。

 恥ずかしくて、でも幸せで。
 胸がいっぱいで苦しいのに、ずっとこのままでいたいと思ってしまう。