「泣くな」
「無理です……」
「胡桃」
「無理、だって……」
次の瞬間、強い腕が私を引き寄せた。
「……え」
気づいたときには、先輩の胸の中だった。
広い胸。
あたたかい体温。
背中に回る腕が、苦しいくらい強い。
「先輩……」
「悪かった」
耳のすぐ近くで、低い声が震える。
「泣かせるつもりじゃなかった」
「でも泣きました……」
「ああ」
「先輩のせいです……」
「そうだな」
否定しない。
それが余計にずるい。
「でも、聞いて」
抱きしめる力が少しだけ強くなる。
「お前を信用してなかったわけじゃない」
「……じゃあ何ですか」
「怖かった」
その言葉に、私はぴたりと動きを止めた。
「え……」
「お前が知れば、絶対止まらないと思った」
「……」
「危険でも、自分から踏みこむってわかってた」
先輩の声は低い。
でも、いつもみたいな強さだけじゃなかった。
どこか、切羽詰まっている。
「だから隠した」
「それは……」
「勝手なのはわかってる」
胸に押し当てられた頬が、先輩の鼓動を拾う。
速い。
私だけじゃないんだ。
「でも、お前に何かあったら無理だ」
息が止まる。
「無理、って」
「……耐えられない」
その一言が、あまりにも本音すぎて。
涙が止まりかけていたのに、またじわっとにじんだ。
「そんな言い方、卑怯です……」
「卑怯でもいい」
「よくないです」
「それでも、お前を失うよりましだ」
だめだ。
こんなの、もう怒れない。
苦しい。
でも、うれしいと思ってしまう自分がいる。
「胡桃」
先輩が少しだけ体を離して、私の顔をのぞきこむ。
「無理です……」
「胡桃」
「無理、だって……」
次の瞬間、強い腕が私を引き寄せた。
「……え」
気づいたときには、先輩の胸の中だった。
広い胸。
あたたかい体温。
背中に回る腕が、苦しいくらい強い。
「先輩……」
「悪かった」
耳のすぐ近くで、低い声が震える。
「泣かせるつもりじゃなかった」
「でも泣きました……」
「ああ」
「先輩のせいです……」
「そうだな」
否定しない。
それが余計にずるい。
「でも、聞いて」
抱きしめる力が少しだけ強くなる。
「お前を信用してなかったわけじゃない」
「……じゃあ何ですか」
「怖かった」
その言葉に、私はぴたりと動きを止めた。
「え……」
「お前が知れば、絶対止まらないと思った」
「……」
「危険でも、自分から踏みこむってわかってた」
先輩の声は低い。
でも、いつもみたいな強さだけじゃなかった。
どこか、切羽詰まっている。
「だから隠した」
「それは……」
「勝手なのはわかってる」
胸に押し当てられた頬が、先輩の鼓動を拾う。
速い。
私だけじゃないんだ。
「でも、お前に何かあったら無理だ」
息が止まる。
「無理、って」
「……耐えられない」
その一言が、あまりにも本音すぎて。
涙が止まりかけていたのに、またじわっとにじんだ。
「そんな言い方、卑怯です……」
「卑怯でもいい」
「よくないです」
「それでも、お前を失うよりましだ」
だめだ。
こんなの、もう怒れない。
苦しい。
でも、うれしいと思ってしまう自分がいる。
「胡桃」
先輩が少しだけ体を離して、私の顔をのぞきこむ。



