最強男子の過保護な溺愛が止まりません!

氷河ノ先輩の表情が、苦しそうに歪む。

 その顔を見た瞬間、胸の奥がじくっと痛んだ。

「……知ってたんですか」

 もう一度聞くと、先輩はすぐには答えなかった。

 ただ、私の腕を引いたまま、ぎゅっと唇を結んでいる。

「仁」

 九条先輩が静かに言う。

「もう隠せない」

「黙れ」

 低く鋭い声。
 空気がぴりっと張る。

「胡桃」

 やっと先輩が私を見る。

「全部じゃない」

「……でも、知ってたんですね」

「少しだけだ」

「少しでも同じです」

 自分でも驚くくらい、声が冷たくなった。

「私だけ知らなかったんだ」

「違う」

「違わないです」

 写真を握る手が震える。
 悔しい。
 悲しい。
 ごちゃごちゃで、何をどう言えばいいのかもわからない。

「なんで言ってくれなかったんですか」

 先輩が黙る。
 その沈黙が、いちばん苦しい。