最強男子の過保護な溺愛が止まりません!

その日の昼休み。

 私は購買で買ったパンを抱えて、人気のない場所を探していた。
 教室は落ち着かないし、中庭は人が多い。
 しかも今日は朝から、いろんな意味で視線が痛すぎる。

「なんであんなに見られるのぉ……」

 思わず小さくぼやく。

 蓮くんは妙に話しかけてくるし、瑞希先輩はさりげなく気にかけてくるし、いおりくんは気づけば近くにいるし、朔は朔で無言の圧があるし。
 そして何より。

「……氷河ノ先輩が、いちばん怖い」

 朝から何度目かわからないその感想をこぼしながら、私は校舎の奥へと進んだ。

 行き止まりみたいな廊下の先。
 重たい鉄の扉を見つけて、なんとなく押してみる。

 きい、と音を立てて開いたその先に広がっていたのは、青空だった。

「わぁ……」

 屋上だ。

 春の風が髪を揺らして、息がふっと軽くなる。
 人の気配もない。
 よかった。やっと一人になれる。

「ここなら、ゆっくり食べられるかも」

 私は安堵してフェンスの近くまで歩いた。
 パンの袋を開けて、一口かじる。

「おいしい……」

 ほっとした、そのときだった。

「勝手に入るなよ」

「ぶふっ」

 思いきりむせた。

「ごほっ、ごほっ……!」

「……何やってんだ」

 背後から聞こえた低い声に、私は咳き込みながら振り返った。
 そこに立っていたのは、いちばん会いたくない相手。