最強男子の過保護な溺愛が止まりません!

「どうして……どうして先輩がこれを持ってるんですか」

 私が聞くと、九条先輩は少しだけ目を伏せた。

「僕の家が、学園の古い資料を管理してるから」

「資料……」

「これは表に出ていないものだよ」

「どうして表に出てないんですか」

「出せないから」

 その返しが、妙に重かった。

 私は写真を持つ指先に力をこめる。

「母が、何をしたんですか」

「そうじゃない」

 九条先輩の声が、少しだけ強くなる。

「君のお母さんは被害者だ」

「被害者……?」

 ぞくりとする。

「どういう意味ですか」

「昔、この学園には今とは別の形のローズがあった」

 九条先輩は、机にもたれながら静かに話し始めた。

「表向きは選ばれた生徒の集まり。学園を支える特別な存在。そんなふうに扱われていた」

「でも本当は違った?」

「そう」

 その横顔が、少しだけ冷える。

「人の弱みを握って支配する集団だった」

 空気が一気に重くなる。

「君のお母さんは、そこに無理やり関わらされた」

「そんな……」

「たぶん最初は、利用価値があったから近づかれたんだろうね」

「利用価値……」

「成績、家柄、人脈、発信力。理由はいくつも考えられる」

 私は写真を見つめたまま、唇をかみしめた。
 知らなかった。
 何も。
 母がそんなものに巻き込まれていたなんて。

「じゃあ、私が狙われてるのって」

「無関係じゃない」

 九条先輩ははっきり言った。

「君は彼女に似てる」

「見た目が、ですか」

「それだけじゃない」

「え……」

「まっすぐで、目立って、人の中心に立ってしまうところも」

 思わず顔を上げる。
 そんなふうに言われたことなんてない。