最強男子の過保護な溺愛が止まりません!

目が覚めたとき、最初に見えたのは見慣れない天井じゃなくて、自分の部屋の白い壁だった。

 でも次の瞬間。
 昨夜のことが一気によみがえって、私はばっと起き上がる。

「……先輩!」

 部屋を見回すと、ベッドのすぐ横。
 床に背を預けたまま、氷河ノ先輩が静かに眠っていた。

「ほんとにいた……」

 当たり前なのに、なんだか変な気分だ。
 こんな近くで朝を迎えるなんて、心臓に悪すぎる。

 制服姿のまま眠っている先輩は、起きているときより少しだけ無防備に見える。
 長いまつげ。
 整った横顔。
 静かな寝息。

「……きれい」

 ぽつりとこぼした瞬間。

「朝から何見てる」

「きゃっ!?」

 思いきり飛び上がった。
 先輩の目、開いてる。
 しかもめちゃくちゃ普通にこっち見てる。

「お、お、おはようございます……!」

「おはよう」

 低い声。
 朝なのに破壊力が強い。

「いつから起きてたんですか」

「さっき」

「うそです絶対」

「半分な」

「また半分!」

 もうやだ。
 この人、朝からずるい。

 先輩はゆっくり立ち上がると、軽く肩を回した。

「体痛くないですか」

「少し」

「ですよね!? だからベッド使ってって言ったのに」

「使わなくて正解だった」

「なんでですか」

「隣でお前が無防備に寝てたら、たぶん寝られない」

「……っ!!」

 だめ。
 起きて数分でこれは無理。

「先輩、朝から心臓に悪いです……」

「お前が悪い」

「なんで!?」

「顔赤い」

「それは先輩のせいです!」

 小声で抗議すると、先輩は少しだけ口元をゆるめた。
 その笑い方がまた悔しいくらいかっこいい。

「とにかく」

 先輩はすぐ真顔に戻る。

「変なことはなかったか」

「うん。たぶん、朝まで何も」

「そうか」

 ほんの少しだけ、先輩の肩の力が抜けた気がした。

「スマホ見せろ」

「はい」

 寝る前に来ていたメッセージ以降は、何も増えていなかった。
 それでも先輩はしばらく画面を見つめてから、ゆっくり返してくる。