最強男子の過保護な溺愛が止まりません!

 玲央が消えたあとも、しばらく誰も動かなかった。

 夜風が冷たい。
 でも、それ以上にさっきの言葉が頭から離れない。

 君はまだ、自分がどれだけ特別か知らない。

「胡桃」

 低い声に顔を上げると、氷河ノ先輩がすぐ目の前にいた。

「帰るぞ」

「……はい」

 それしか言えなかった。
 いろいろ考えたいのに、先輩に手を取られているだけで心臓が落ち着かない。

 校門から少し離れたところで、蓮くんがふっと息をついた。

「今日はさすがに送ってくわ」

「えっ、そんな、みんなでですか?」

「当たり前やろ」

 蓮くんが呆れたように笑う。

「敵がわざわざ顔見せに来たんやで」

「でもそれじゃ目立ちます」

「もう今さらだ」

 朔の一言が重い。
 たしかにその通りすぎて、反論できない。

「僕も行きます」

 いおりくんが当然みたいに言う。

「先輩、今夜は絶対一人にしたくないので」

「……ありがとう」

 そう返すと、いおりくんは少しだけ目をやわらかくした。

「そういう素直なとこ、反則です」

「な、何が!?」

「自覚ないのやばいですね」

「いやそれ今言う!?」

 思わず声が上ずる。
 するとすぐ隣から、氷河ノ先輩の低い声が落ちた。

「いおり」

「はい?」

「黙れ」

「こわ」

 でもいおりくんは全然ひるまない。
 むしろ少し楽しそうだった。

 そのまま歩き出した帰り道。
 なぜか私は、真ん中に挟まれる形になっていた。

 右に氷河ノ先輩。
 左に朔。
 少し後ろに蓮くんといおりくん。
 完全に囲まれてる。

「……あの」

「何だ」

 氷河ノ先輩がすぐ返す。

「これ、ちょっと大げさじゃないですか」

「全然」

「いや、どう見てもです」

「足りないくらいだ」

「足りないの!?」

 思わず見上げると、先輩は真顔だった。
 本気で言ってる。
 この人、本当にどこまで過保護なの。

「でも」

 私は小さく息を吐く。

「ありがとう、ございます」