「……お前、何者だ」
「だから言ったでしょ。挨拶に来ただけ」
「名乗れと言ってる」
「仕方ないな」
男は胸元に手を当て、舞台役者みたいにわずかに一礼した。
「白瀬玲央」
その名前に、九条先輩がわずかに目を細める。
「やっぱり君だったんだ」
「久しぶりですね、九条先輩」
玲央と名乗った男は、にこやかに言った。
でもその笑顔にも、親しさはほとんど感じない。
「知り合いなんですか」
私が思わず聞くと、九条先輩は視線を外さず答えた。
「昔、少しだけね」
「少し、ねぇ」
玲央はくすりと笑う。
「その言い方は冷たいな」
「君とは深く関わりたくない」
「ひどい言われよう」
口では軽く流しているけれど、ふたりの間にもただならないものが流れていた。
「玲央」
いおりくんがふいに名前を呼ぶ。
その瞬間、玲央の眉がほんの少しだけ上がった。
「へえ。君、僕のこと知ってるんだ」
「有名ですから」
いおりくんはにこっと笑う。
「趣味の悪さで」
「……きついなぁ」
玲央は笑っている。
でもその目だけが、わずかに冷えた。
「天瀬いおり。君も思ったより面白い」
「光栄です」
さらっと返すいおりくんも怖い。
この空気、誰も普通じゃない。
「で、玲央くん」
蓮くんがわざとらしく笑う。
「胡桃ちゃんに何の用なん」
「だから、興味を持っただけ」
「それがいちばん厄介なんやけど」
「そう?」
玲央は首をかしげる。
「でも、彼女ならわりとすぐこっちに来るかもしれないよ」
「は?」
思わず声が出た。
「どういう意味ですか」
玲央は私を見つめたまま、ゆっくり言う。
「君、自分が誰に似てるか知らないんだ」
胸の奥がざわっとした。
「……誰に」
「それはまだ秘密」
「ふざけんな」
氷河ノ先輩が、今にも飛び出しそうな声を出す。
「胡桃をこれ以上混乱させるな」
「混乱?」
玲央は少しだけ目を細めた。
「むしろ、知る権利があると思うけど」
「お前に与えられる情報なんかいらない」
「でも彼女は知りたがってる」
図星だった。
悔しいけど、知りたい。
私が誰に似てるのか。
どうしてローズが私を狙うのか。
「だから言ったでしょ。挨拶に来ただけ」
「名乗れと言ってる」
「仕方ないな」
男は胸元に手を当て、舞台役者みたいにわずかに一礼した。
「白瀬玲央」
その名前に、九条先輩がわずかに目を細める。
「やっぱり君だったんだ」
「久しぶりですね、九条先輩」
玲央と名乗った男は、にこやかに言った。
でもその笑顔にも、親しさはほとんど感じない。
「知り合いなんですか」
私が思わず聞くと、九条先輩は視線を外さず答えた。
「昔、少しだけね」
「少し、ねぇ」
玲央はくすりと笑う。
「その言い方は冷たいな」
「君とは深く関わりたくない」
「ひどい言われよう」
口では軽く流しているけれど、ふたりの間にもただならないものが流れていた。
「玲央」
いおりくんがふいに名前を呼ぶ。
その瞬間、玲央の眉がほんの少しだけ上がった。
「へえ。君、僕のこと知ってるんだ」
「有名ですから」
いおりくんはにこっと笑う。
「趣味の悪さで」
「……きついなぁ」
玲央は笑っている。
でもその目だけが、わずかに冷えた。
「天瀬いおり。君も思ったより面白い」
「光栄です」
さらっと返すいおりくんも怖い。
この空気、誰も普通じゃない。
「で、玲央くん」
蓮くんがわざとらしく笑う。
「胡桃ちゃんに何の用なん」
「だから、興味を持っただけ」
「それがいちばん厄介なんやけど」
「そう?」
玲央は首をかしげる。
「でも、彼女ならわりとすぐこっちに来るかもしれないよ」
「は?」
思わず声が出た。
「どういう意味ですか」
玲央は私を見つめたまま、ゆっくり言う。
「君、自分が誰に似てるか知らないんだ」
胸の奥がざわっとした。
「……誰に」
「それはまだ秘密」
「ふざけんな」
氷河ノ先輩が、今にも飛び出しそうな声を出す。
「胡桃をこれ以上混乱させるな」
「混乱?」
玲央は少しだけ目を細めた。
「むしろ、知る権利があると思うけど」
「お前に与えられる情報なんかいらない」
「でも彼女は知りたがってる」
図星だった。
悔しいけど、知りたい。
私が誰に似てるのか。
どうしてローズが私を狙うのか。



