最強男子の過保護な溺愛が止まりません!

「胡桃、下がれ」

「でも」

「下がれ」

 短い言い方なのに、私を守ろうとしてるのがわかる。
 だからこそ、少し悔しい。

 守られてばっかりじゃだめだ。
 私は黒幕を追うためにここに来たんだから。

「九条先輩」

 私はもう一度、まっすぐ瑞希先輩を見た。

「Rって、何なんですか」

 ぴしりと、空気が張りつめる。

 瑞希先輩はしばらく黙っていた。
 やがて、ふっと息をもらす。

「そこまで知ったんだね」

「やっぱり、先輩が」

「違うよ」

 返事は即答だった。

「少なくとも、僕は今のローズの中心じゃない」

「今の……?」

 思わず聞き返すと、瑞希先輩は少しだけ困ったように笑う。

「言いすぎたかな」

「ふざけんな」

 氷河ノ先輩の声が鋭くなる。

「胡桃を巻き込むな」

「巻き込んだのは僕じゃない」

 その一言で、氷河ノ先輩の空気がさらに冷えた。

「彼女は最初から、この件の中心に近づきすぎていた」

「……どういう意味ですか」

 私が問うと、瑞希先輩はゆっくりと視線を落とした。

「相沢胡桃」

 名前を呼ばれるだけで、胸がざわつく。

「君、自分が思っている以上に目立ってるよ」

「え?」

「黒幕を追っているつもりでも、向こうもずっと君を見てる」

 ぞくりとした。

 それってつまり。
 私が潜入した時点で、もう。

「最初から、バレてたってことですか……?」

「全部じゃない。でも、ただの転校生じゃないとは思われていた」

 頭が真っ白になる。
 じゃあ、ここまでの出来事も。
 呼び出しも。
 視線も。
 全部、向こうの仕掛けだったの。