最強男子の過保護な溺愛が止まりません!

放課後の教室。

 私は机の中に入っていた紙を見つめたまま、固まっていた。

 知りたければ、今夜七時。旧資料棟へ。

 そして、紙の端に小さく書かれた R の文字。

「それ、俺にちょうだい」

 耳元で落ちた低い声に、私はびくっと肩を震わせた。
 氷河ノ先輩が、私の肩を軽く抱き寄せたまま、紙を見下ろしている。

「ひ、氷河ノ先輩……近いです」

「今は我慢しろ」

「うぅ……」

 我慢って何。
 そう思うのに、先輩の手は離れない。

 そのまま紙を受け取った先輩は、表情を険しくした。

「やっぱりか」

「やっぱりって、何ですか?」

「……まだ言えない」

「ええっ」

「でもこれは、昨日までとは違う」

 先輩の声は低く、真剣だった。

「いたずらじゃない。本気でお前を誘ってる」

「私を……?」

「そうだ」

 私はごくりとつばを飲み込んだ。
 からかい半分の呼び出しじゃないなら、なおさら放っておけない。
 もしかしたら、本当に黒幕につながる何かがあるかもしれない。

「行きます」

 小さくそう言うと、氷河ノ先輩の眉がぴくっと動いた。

「却下」

「でも」

「却下だ」

「でもでも」

「胡桃」

 名前を呼ばれて、思わず口をつぐむ。
 先輩はまっすぐ私を見た。

「一人では絶対に行かせない」

「……先輩と一緒なら」

「最初からそう言え」

 即答だった。
 なんだかちょっと悔しい。

 そのとき。

「やっぱ行くんやな」

 教室の扉にもたれていた蓮くんが、にやっと笑った。

「鳳条先輩……」

「おもろそうやし、俺も行くで」

「遊びじゃない」

 氷河ノ先輩が冷たく返す。

「わかっとるよ。でも人数おったほうがええやろ」

 その表情は、いつもの軽さの奥にちゃんと鋭さがあった。