最強男子の過保護な溺愛が止まりません!

次の日の朝。

「眠い……」

 私は机に突っ伏しそうになりながら、小さくあくびをした。

 昨日の呼び出しのせいで、帰ってからもずっと頭がぐるぐるしていた。
 氷河ノ先輩に手を引かれたこと。
 優等生の先輩らしき人影を見たこと。
 それに、あの最後の視線。

「考えすぎかなぁ……」

 でも、どうしても引っかかる。
 あの場にいたのが本当に九条瑞希先輩だったなら。

 ――黒幕と関わっているかもしれない。

 そう考えた瞬間、胸の奥がざわついた。

「相沢さん」

「ひゃっ」

 顔を上げると、噂の本人が目の前に立っていた。

「九条、先輩……」

 にこりと笑うその顔は、昨日の闇なんてまるで知らないみたいにやさしい。

「昨日、少し顔色が悪かったから心配してたんだ」

「え、あっ、だ、大丈夫です!」

「本当に?」

 そっとのぞき込まれて、私は思わず背筋を伸ばした。
 近い。
 でも氷河ノ先輩の近さとは違って、九条先輩のそれはやわらかくて逃げにくい。

「無理してるなら、保健室まで送るよ」

「い、いえ、そんな……」

「遠慮しなくていいのに」

 ふわりと笑う。
 やさしい。
 やさしいのに、なぜか落ち着かない。