最強男子の過保護な溺愛が止まりません!

「私だって、そんな簡単にやられません」

 言った瞬間、先輩の目がじっと私を見つめた。

「……あ」

 しまった。
 今の、ちょっと総長っぽかったかも。

「続けろ」

「えっ」

「その顔のほうが自然だ」

「な、なんのことですか!?」

「その猫かぶり、疲れるだろ」

 先輩はくすっと笑う。
 う。なんか悔しい。

「とにかく、行くなら俺も一緒だ」

「それじゃ意味ないです」

「ある。お前を守る意味がある」

 言い切られて、私は思わず黙りこんだ。

 守る。
 そんなふうに言われるのは、慣れてない。
 いつもは私が誰かを守る側だったから。

「……じゃあ、遠くから見てるだけなら」

「交渉成立」

「えっ、まだ最後まで言ってません!」

「十分だ」

 全然よくない。
 でも、これ以上押し問答しても勝てる気がしなかった。

 そして放課後。

 人の気配が消えた校舎を抜けて、私は旧校舎裏へ向かった。
 空は薄暗くなりはじめていて、風が少し冷たい。

 古びた壁。
 人気のない裏庭。
 どう考えても、ろくでもない雰囲気だ。

「来たんだけど……」

 周囲を見回した、そのとき。

「ほんとに来た」

「まじめちゃんじゃん」

「しかも一人で」

 建物の影から、数人の男子が現れた。

 制服は乱れていて、見るからに素行が悪そうな集団。
 ああ、やっぱり。
 こういう感じね。

「君、最近調子乗ってるよね」

「氷河ノ先輩とか、鳳条先輩とか、人気ある人に近づきすぎ」

「自分、地味なくせにさ」

 ……なるほど。
 そういうやつか。

 私は内心で小さくため息をついた。

「何か用ですか」

「は?」

「呼び出したの、そっちですよね」

 私が首をかしげると、相手は一瞬だけひるんだ。
 たぶん、もっと怯えると思っていたんだろう。

「強がってんの?」

「そのメガネ外したら泣くタイプじゃない?」

「ちょっと痛い目みたほうがいいんじゃね」

 一人が私の肩に手を伸ばしてくる。

 その瞬間。

 反射で、その手首をひねりかけた。

「……っ」

 あぶない。
 寸前で止めたけど、今ので完全に体が動いた。