その日の帰り道。校門を出たところで、加賀見くんが追いついてきた。
「椎名さん、パートナーって決まってるか」
「パートナー?」
「サマーガラは基本、二人一組で入場するんだ。男女でペアを組む決まりで、誰かと組む必要がある」
息が、止まりそうになった。
「あ。じゃあ、クラスの男子に、誰か聞いてみようかな」
「……そうか」
加賀見くんは、それだけ言って、歩調を速めた。その背中が心なしか、いつもより硬い気がした。
──もしかして。
聞き返そうとしたけれど、赤信号で加賀見くんは、先に別れ道へ折れてしまった。
遠ざかる背中を見送りながら、私は自分の口から出た言葉を、後悔していた。
とっさに出た言葉は、逃げだった。
──パートナー、決まってるか。
その一言に、どれだけの意味が込められていたのか、私にはちゃんと考える勇気がなかった。
◇
その夜。スマホを開いて、クラスの男子に、それとなく聞いてみる。
『サマーガラ、パートナー決まってる?』
返ってきたのは、どれも似たような返事だった。
『もう、いとこと組む予定なんだ』
『先に頼まれちゃってて、ごめん』
どうしよう……本当に組みたい相手には、もう断ってしまったのに。
私はスマホを、そっと伏せた。



