「な、ないよ! そんなんじゃないって!」
慌てて手を振ると、琴葉は、「そう?」と、あっさり流してくれた。
その素直さが、今はちょっとだけ辛かった。
「じゃあ、そろそろ寝ようか。彩葉ちゃん、明日も学校でしょ」
「うん……おやすみ」
自分の部屋に戻って、私はベッドに倒れこんだ。
天井を見つめながら、今日、琴葉が言った言葉を、何度も頭の中で繰り返す。
『わたし、加賀見くんのこと、たぶん、好き』
身代わりの日数は、確かに減っている。それなのに、心の中の何かは、これまでで一番、重たくなっていた。
うとうとしかけたとき、枕元のスマホが、ぽん、と、通知音を立てた。
美咲からの、メッセージだった。
『この前、言ってた写真の話なんだけど。その子が使ってるアカウント、見つけたかも! これ、見て』
添付された画像を、開く。
見覚えのある、駅の風景。短い髪の、制服姿の後ろ姿。遠目で、顔ははっきりしないけれど、あの日、あの場所に立っていたのは、間違いなく私だった。
投稿には、こう書かれていた。
『#明凰学園 #双子? #見かけた』
心臓が、すとん、と、地面に落ちるような感覚がした。
まだ、いいねの数は多くない。でも、これがもし、明凰の誰かの目に留まったら。
私は、暗い画面をしばらく見つめ続けていた。



