「ううん、任せて。琴葉が、ちゃんと治ることのほうが大事だから」
そう答えると、琴葉は、ほっとしたように笑った。
髪は三つ編みのままだ。私の頭には、彼女とお揃いの、ウィッグの三つ編みが乗っている。
なんだか、変な感じだった。同じ顔、同じ髪型の二人が、同じ部屋にいる。
「おかえり、琴葉」
そう言うと、私は隣に座った。
「ねえ、彩葉ちゃん。今日から勉強、わたしにも手伝わせて」
「え?」
「期末テスト、近いでしょう。わたし、家でできることなら何でもするから」
琴葉の目が、久しぶりにいつもの真剣な光を取り戻していた。
「……うん。お願いします」
私が頭を下げると、琴葉はくすっと笑った。
◇
その夜。琴葉の部屋のベッドで、私たちは並んで座っていた。
窓の外で、夏の虫がりんりんと鳴いている。
「彩葉ちゃん」
琴葉が、ぽつりと言った。
「あのね、話したいことがあるの」
「なに?」
琴葉はしばらく、指先をもじもじさせていた。それから、意を決したように顔を上げた。
「わたし……加賀見くんのこと、たぶん、好き」
「……っ」
一瞬、時間が止まった気がした。



