月曜の朝。校門をくぐると、黒塗りの車がすっと止まった。
「瑛様、お忘れ物のないように」
運転手さんに頭を下げられて降りてきた加賀見くんは、私を見つけると、真っ直ぐ歩いてきた。
「筋肉痛だろ、それ」
「え?」
「歩き方。一昨日からの今日だし」
言うが早いか、加賀見くんは私のカバンを、ひょいと持ち上げた。
「わ、大丈夫だよ、自分で持てる」
「持てるのと、持たなくていいのは、別だろ」
短く言って、そのまま歩き出す加賀見くん。まわりの生徒たちが、ちらちらと、こちらを見ていた。
「な、なんか、すごい見られてるんだけど」
「気にするな。いつものことだ」
いつものこと、なんだ。この人にとっては。
私にとっては、心臓が飛び出しそうなくらい、特別なことなのに。



