先生と一緒に来るなんて、聞いていない。
ドアの向こうで、母の声がした。
「彩葉、もう一人、お客さんよ。美咲ちゃん」
やばい、ウィッグが出しっぱなし。
頭の中が、真っ白になる。ブラシもあるし、ウィッグもある。隠す場所は──。
慌てて、ウィッグとブラシをつかんで、布団の奥へ突っこんだ。次の瞬間、ドアがガチャリと開いた。
「彩葉ー!」
顔をのぞかせたのは、バスケ部でいつも一緒の美咲だった。ショートカットの髪をぴょこぴょこ跳ねさせて、小さな紙袋を両手で抱えている。
「五分だけね」
母はそう言って、ドアを閉めて出ていった。
「彩葉、思ったより元気そうじゃん! ……あ、ごめん、まだ咳が続いてるんだもんね」
「う、うん……ごほごほ」
「無理しなくていいって!」
美咲は、ベッドのそばにどさっと座りこんだ。
「これ、お見舞い。彩葉の好きなプリン。それと──」



