目が覚めたとき、体中がバキバキに痛かった。
「いたたた……」
布団の中で、そっと足を動かす。ふくらはぎが、丸太みたいに張っている。昨日、あれだけ全力で走ったんだから、当たり前だ。
天井に、見慣れた木目が見えた。
……ああ、私の部屋だ。
今日は日曜日。学校もない。ウィッグも、三つ編みもいらない。まるまる一日、彩葉のままでいていい日だ。
頭が軽くて、風がすうっと通る。ふだんと同じ、短いショートヘアなのに、今日はやけに、それが心地よかった。
ほっとして、それからほんの少しだけ心細かった。
昨日の夕方。雨上がりのグラウンドで、加賀見くんは『聞かないよ』と言った。事情のある人なんて、いくらでもいる、と。
彼と分け合ったおにぎりの味と、『家を継ぐって、生まれたときから決まってるんだ』という声が、まだ耳の奥に残っている。
私は、布団を頭までかぶった。
……考えない、考えない。今日は「彩葉」として、一日ここにいるんだから。



