身代わり特待生、はじめました。~双子の妹のフリして、御曹司に恋してます~


リレーが終わる頃には、雨脚が強くなっていた。

応援合戦は、色とりどりの傘が広がる中、日和ちゃんたち応援団の声だけが、ひときわ大きく響いて、どうにか終わった。

昼休みは、進行の確認に追われて、お弁当の列に並びそびれた。

「琴葉!」

日和ちゃんが、傘もささずに走ってきた。金色のハチマキが、雨を吸って、濃い色に変わっている。

「リレー、すっごくかっこよかった! 私、ちょっと泣いた」

「ひ、日和ちゃん」

「あ、それと。『あとで説明する』って言ったの、忘れてないからね」

どきりとした。でも、日和ちゃんは、にっと笑って続けた。

「でも、急がなくていいよ。琴葉が話したくなったときで」

ほっとして、それから、胸のどこかがきゅっと痛んだ。

◇

雨は、閉会式の頃には上がっていた。

雲の切れ目から、夕日が差している。濡れたグラウンドが、あちこちで、金色に光っていた。

土の匂いと、雨上がりの草の匂いが混ざり合っている。

進行係の仕事は、最後まで残っていた。私は加賀見くんと二人で、本部のテントを畳んだ。

「……お疲れ」

「加賀見くんこそ。今日は、本当にありがとう。リレーも、かっこよかった」

「……別に」

素っ気ない返事なのに、その耳は少し赤かった。

そういえば、と、私はカバンを探る。