「今日は、声が枯れるまで応援するからね! 琴葉も、がんばって!」
「うん。日和ちゃんも!」
いつもよりキラキラした笑顔に、肩の力が少し抜けた。
「椎名さん」
進行係の腕章をつけた加賀見くんが、進行表を差し出した。私の腕にも、同じ腕章がある。
「今日は、よろしく」
「こちらこそ」
ウィッグは今朝、ピンを十二本もとめてきた。ハチマキも、きつく巻いた。準備は、ばっちりだ。
ちょうどその頃、本部テントの横に、白衣の人たちが、数人到着した。段ボールを抱えている。救護テントのスタッフだ。
加賀見総合病院は毎年、明凰学園の行事に医療スタッフを派遣してくれているらしい。個人的な繋がりというより、学校と病院の間の、正式な取り決めなんだろう。
「瑛さん。本日は、よろしくお願いいたします」
先頭の女の人が、加賀見くんに深々と頭を下げた。
「……こちらこそ。あの、頭を上げてください。いつも言ってるのに」
加賀見くんは、居心地悪そうに、視線を泳がせている。その様子を見ていた私は、白衣の列の中に見覚えのある顔を見つけて、息を止めた。
あの人、面会のたびに「お姉さんですか」と声をかけてくれる、琴葉の病棟の看護師さんだ……!



