身代わり特待生、はじめました。~双子の妹のフリして、御曹司に恋してます~


金曜の朝。会議室に入ると、空気が張りつめていた。

実行委員と生徒会の役員が全員、集まっている。長い机の端で、北条さんが青い顔で、両手を握りしめていた。

「リレーのバトンが、一本、足りないの」

声が、震えている。

「六本のうち、一本だけ。今朝、用具庫を開けたら、五本しかなかったの」

ざわ、と空気が揺れた。

「昨日、最後に用具庫にいたのは?」

誰かの声に、みんなの視線がゆっくりと、一人に集まる。

宮川さんだ。

制服の袖に、灰色の埃が、うっすらついている。前髪も、いつもより少し乱れていた。

「あたしは、鍵をかけただけよ」

宮川さんは、まっすぐ顔を上げた。

「数えたのは、夕方の五時。そのときは、確かに六本あったわ。そのあと、応援用の箱が運びこまれたのを確認して、鍵をかけたの」

「でも、鍵を持ってたの、宮川さんだけじゃん」

用具係の男子が言った。

「宮川さん、リレーに出るの嫌がってたし……」

「だからって、あたしがそんなことするわけないでしょう!」

「じゃあ、先生に言うしかないんじゃ……」

誰かがぽつりと言った言葉に、宮川さんの肩がびくりと揺れる。