その夜、私は自分の部屋でノートの数字を書き換える。
【選考日まで あと40】
星印の横の二重丸は、これで五つ目。数字が減るたびに、ノートが、少しずつ重くなっていく気がした。
そうだ、琴葉の面会の時間を確かめなきゃ。
引き出しから、母に渡された封筒を取り出し、中の紙を広げた。
『入院のご案内 加賀見総合病院』
「え?」
……加賀見、総合、病院。
指先で、その文字をなぞる。
『代々続く大きな病院』『救護は、お父さんの病院から』
それに、温室で聞いた、あの一言。『父の病院に、届けてるんだ』
今日までに耳にした言葉が、ばらばらの欠片から、ひとつの形につながった。
琴葉は、加賀見くんの家の病院に入院している。
背中を、冷たいものが走った。
──それなら加賀見くんは、知っているんじゃないの? 本物の琴葉が、そこにいることを。



