金曜の朝。学校に、大きな箱がいくつも届いた。
「わあ、来た来た。応援団の衣装だよ」
日和ちゃんが、嬉しそうに箱を開ける。彼女は、応援団の副団長なんだって。
箱の中から出てきたのは、クラスごとに色違いの、つやつやしたはっぴと、金の刺繍が入ったハチマキ。
「これ、業者さんが作ったの?」
「うん。毎年、専門のデザイナーさんが、体育祭のためだけに作ってくれるんだよ」
体育祭の、ためだけに……すごい。さすが、お金持ち学園!
窓の外では、作業服の人たちが、白いテントを組み立てている。保護者席らしい。北条さんが、指を折りながら教えてくれた。
「お昼は、有名なレストランのシェフが、お弁当を作ってくれるんだって。救護テントには、加賀見くんのお父さんの病院から、お医者さんと看護師さんが来てくれるの」
「加賀見くんの、お父さんの病院?」
「あれ、知らなかった?」
日和ちゃんが、首をかしげる。
「加賀見くんちは、代々続く大きな病院なんだよ。将来は跡継ぎだって、先生たちも言ってる」
「へえ……」
「おい」
噂の主の声がして振り返ると、ダンボール箱を抱えた加賀見くんが、すぐ後ろに立っていた。
ほんのり耳を赤くしていた数日前の温室とは違う、いつものクールな瞳。



