水曜と木曜、放課後の校庭が、私たちの仕事場になった。
歩数を数えながら、道具置き場から入場門まで、何度も往復する。ストップウォッチが、かちり、かちりと乾いた音を立てる。
西日に伸びた影が、白いラインの上をいくつも横切っていった。
一人で運ぶと、四十秒。
用具係の子たちを五メートルおきに並べて、手渡しで回すと十八秒。
「二十二秒、縮んだ」
加賀見くんが、数字を書きこむ。
「入れかえは二十回あるから……全部で、七分ちょっと。去年の遅れは、ほぼ取り戻せる」
握りかけた拳を、慌てて背中に隠した。ガッツポーズは、琴葉の仕草じゃない。
木曜の終わりには、用具庫から、重たい得点板を運び出すことになった。
二人がかりで持つ板の片側を、私は一人で持ち上げた。
「うわ。椎名さん、力あるね!」
用具係の子が、感心した声を上げる。
「おい」
後ろから、加賀見くんの低い声がした。



