「よ、余裕だよ。ほら、病み上がりって、逆にお腹がすくの!」
「なにそれ」
日和ちゃんは、呆れたように笑った。それから、思い出したように言う。
「そうだ。今週末、習い事のあと、いつもの紅茶のお店で、アフタヌーンティーしない?」
あ、あふたぬーんてぃー……!? 紅茶やお菓子を何段にも重ねて、優雅にいただく、あれだ。マックでポテトを食べるのとは、わけが違う!
「ご、ごめん! 今週末は、お父さんと出かけるかも!」
日和ちゃんの手が、ぴたりと止まった。
「……お父さん? 琴葉、いつも『パパ』って言ってなかった?」
ぎくり。
「そ、そうだっけ! ちょっと、大人っぽく呼んでみようかなーって!」
「ふうん」
日和ちゃんは、じっと私の顔を見て、それからニコッと笑った。
「変なの。でも、いいと思うよ」
……危なかった。そういえば、琴葉は両親のこと、パパママって呼んでたな。
ほっとしたのと同じくらい、後ろめたさが、じわじわと広がった。
友達に嘘をつくのは、思っていたより、ずっとつらい。
◇
「ねえ、ちょっと」
「っ!」
学食を出たところで、私は行く手をふさがれた。
宮川さんだ。
「今日は、珍しいことばかりね、椎名さん」
「え?」



