二週間後。私は、机の引き出しからあの使い古したノートを取り出した。
最後のページ、選考日のところに私は一行、書き足した。
『嘘をついて、たくさんの人に、助けられた。でも、嘘は嘘だった。次は噓じゃなくて、自分の名前であそこに行く』
書き終えて、ノートを閉じようとしたとき、最後のページの隅に、見覚えのある丁寧な字を見つけた。
琴葉が、書き足してくれたものだった。
『彩葉ちゃん、四十五日間、本当にありがとう。次は、わたしが彩葉ちゃんの受験を応援する番です』
私は、新しいページを開いて、そこに小さく、数字を書きこんだ。
【明凰学園高等部の受験まで あと五百日】
まだ、途方もなく遠い数字。それでも、これからは噓じゃない、私自身の足で、その日に向かって歩いていく。
窓の外、夏の空はどこまでも青く広がっていた。温室で育てた向日葵は、もうすぐ、大きな花を咲かせるだろう。
私もいつか、あの花みたいに、まっすぐ胸を張って咲いてみせる。
【完】



