夕暮れの河川敷は、浴衣姿の人たちで賑わっていた。
私は、部活のジャージのまま来てしまったことを、少しだけ後悔した。
瑛くんと両想いになって、初めてのデートなのに。
隣を歩く瑛くんは、私服でもどこか様になっている。
「浴衣、着てくればよかった」
「別に、そのままでいい」
「え……?」
「お前らしくて、いいと思う」
さらりと言われて、頬が熱くなる。
サマーガラの夜、ダンスのあとに言われた『今日みたいな顔、悪くないと思う』という言葉を、ふと思い出した。
「瑛くんって、そういうとこ、変わらないよね」
「悪いか」
「ううん。……好き」
思わず、口からこぼれた一言に、自分でも驚いた。瑛くんも、目を丸くして、それから噴き出すように笑った。
「反則だろ、それ」
私たちは、土手に並んで腰を下ろす。
屋台で買ったわたあめを、二人で分け合った。手を伸ばした拍子に、互いの指先が、軽く触れる。
二人同時に、はっと手を引っこめて、それからどちらからともなく笑ってしまった。
あの、サマーガラの夜のりんごジュースのときを思い出して、私はまた笑ってしまう。
「明凰学園高等部の特待生入試、一年半後だっけ」
「うん。琴葉が、みっちり教えてくれるって」
「俺も、手伝う」



