一ヶ月後。奉仕活動、最終日の午後。
温室の花壇には、私が植えた向日葵の苗が、まっすぐ空に向かって伸びていた。
背丈はまだ私の腰くらいだけれど、つぼみがしっかりと、上を向いている。
「お疲れ」
顔を上げると、温室の入り口に加賀見くんが立っていた。私服姿を見るのは、初めてかもしれない。
制服とは違うラフなシャツ姿が、なんだか新鮮だった。
「今日で、最後なんだって?」
「うん。ちょうど今、終わったとこ」
軍手を外しながら、私は笑った。汗ばんだ額を、手の甲で拭う。
「けじめ、ついたか?」
「……うん」
私は、大きく息を吸った。
「答え、聞きたい?」
「ああ。ずっと、待ってた」
加賀見くんの目が、こちらを見ている。私は、その視線をまっすぐ、受け止めた。
「私も、加賀見くんのことが、好き。……琴葉のフリをしていた私じゃなくて、椎名彩葉として答える。私と、付き合ってください」



