校長室には、校長先生、藤原先生、渡辺先生、両親、そして、加賀見院長が並んでいた。
長机の向こうに座る校長先生の顔は、思ったより厳しい。
「座りなさい」
促されるまま、私と琴葉は並んで椅子に腰かけた。
「まず、事情は藤原先生から聞いています」
校長先生は、机の上で手を組んだ。
「椎名琴葉さん。あなたの過労と、留学選考の重圧については、加賀見先生からは、事前に医師としてのご意見も、書面でいただいています。それを踏まえた上で、聞きます。なぜ、自分で事情を話さなかったのですか」
琴葉はまっすぐ、校長先生を見た。
「……怖かったんです。正直に話したら、選考から外れてしまうと思って」
「それで、お姉さんに頼んだと」
「はい。姉を、巻きこんでしまいました。わたしの、身勝手なわがままです」
琴葉の声は震えていたけれど、逃げてはいなかった。
「椎名彩葉さん」
今度は、私の番だった。
「あなたはなぜ、それを引き受けたのですか」
私は一度、深呼吸をした。
「琴葉が、今まで必死に頑張ってきたのを、ずっと近くで見てきたからです。何か、自分にできることがあるなら、やりたいと思いました」
「それが、噓をつくことでも?」
「……はい。そのときは、それしか思いつきませんでした」
言葉にすると、改めて自分がしたことの重さが、のしかかってきた。
「隠していて、すみませんでした。みんなに噓をついて、申し訳ありませんでした」
私は、深く頭を下げた。隣で琴葉も、同じように腰を折っていた。
藤原先生が、口を開いた。



