昼休み。屋上に続く階段の踊り場で、紬さんが待っていた。
「日和から聞いたわ。話があるんでしょう」
腕を組んで、じっと私を見ている。日和ちゃんも、後ろで心配そうに立っていた。
階段の踊り場に差しこむ光が、三人の影を長く伸ばしていた。
私はしばらく、言葉を出せずにいた。逃げ出したい気持ちと、もう逃げたくない気持ちが、胸の中でせめぎ合っている。
私は覚悟を決めて、口を開いた。
「……琴葉は、私の双子の妹なの。過労で入院して、留学の選考のために私が代わりに学校に来てた」
言葉にしてしまうと、拍子抜けするくらい単純な事実だった。
紬さんは、しばらく黙っていた。それから、ふう、と、大きく息を吐いた。
「……道理で。あなたの走り方、去年と全然違うと思ったわ」
「気づいてたの?」
「ええ、体育祭のときから何となく。字も数学の解き方の癖も、違ったから」
紬さんは、言い淀んでから続けた。
「……でも、確信したのは、別の理由よ」
「え?」



