パーティー当日の午後。日和ちゃんの家に呼ばれると、リビングには、すでに紬さんが座っていた。足首の捻挫は、すっかり良くなっている。
「あれ、紬さんも?」
「日和に、頼まれたのよ」
紬さんは、ヘアアイロンを片手に、そっけなく言った。
「あたし、髪をセットするのだけは得意なの」
「意外……」
「失礼ね。さあ、始めるわよ」
紬さんの指が、頭皮にするりと触れる。指先が、びくっと震えた。
──ウィッグって、バレないよね?
編みこみを足すということは、地肌に近いところまで、触られるということだ。
ピンの位置がずれたら、根元が浮いて、地毛との境目が見えてしまうかもしれない。
「動かないで。ちゃんと、留めるから」
「あ、うん……」
声が、少し上ずった。
鏡を見ると、紬さんの指がウィッグのフックのすぐ近くにかかっている。
私は、思わずぎゅっと目を閉じて息を止めた。
お願い。どうか、気づかれませんように……!



