ダン、ダン、ダン。
乾いた音が、体育館に響く。
体育館の壁に向かって、私はさっきから何度もバスケットボールを投げていた。
テスト明けの、気だるい放課後。フリースローの練習と言えば聞こえはいいけれど、本当はヒマを持て余していただけだ。
「椎名、今日もうまいなー」
通りがかったバスケ部の男子に声をかけられて、私は「でしょ?」と得意げに笑ってみせる。
運動なら、誰にも負けない自信がある。それだけが、私の取り柄だ。
スマホが震えたのは、そんな六月のある日の放課後だった。
「椎名琴葉ちゃんの、お姉さんですか?」
聞き覚えのない女の人の声に、私はボールを抱えたまま、体育館の壁に背中を預けた。
「はい、そうですけど」
「明凰学園の者です。ご両親の携帯にお電話したのですが繋がらなかったため、緊急連絡先に登録されていたお姉様に、ご連絡いたしました」
何だか、嫌な予感がする。



