『ひとりの少女』




気づけば、いつも通りの放課後。

今日は雨だから、傘を持ってきている。
昇降口で靴を履き替え、傘を差して、歩き出す。


いつも通りの帰り道、いつも通りの駅。
でも毎日少しだけ違う、空の色、雲。


「ああ、綺麗だ」と良く思う。


でも、それだけだ。



綺麗だからそれを見れて嬉しいだとか、その光景が愛しいだとか、そう言うのは思わない。


思っているのかもしれないけれど、心を覆う壁が分厚すぎて、私自身でさえ気づけない。



私は、弱かった。



少し前、それこそ中学生あたり。
そこで私は、世界の醜さを目の当たりにする。



いや、違う。



目の当たりにしたんじゃない。
背中に背負わされて、重くて耐えきれなくて、潰れたんだ。



そしてその時一緒に、心も潰れてしまった。



身体は回復するから問題ない。
だけど、心は違う。違うらしい。治らない。


ずたずたになった心を、これ以上傷つくことのないように、私は無意識に必死に守っている。
だからこそ、酷く分厚い壁で、私の心は覆われているのだろう。



何事も純粋に受け取れたあの頃が、最早不思議だ。
今では、純粋に思えない。受け取れない。



これは成長なのか、自壊なのか。私には分からない。



歩いて、歩く。ふと立ち止まって、写真を撮る。


雨は好き。でもこれは、私の中でどういう意味の好きなんだろうか。




静かな音楽が耳元で流れながら、私は今日もいつも通り、家に帰る。