ラブ・イン・ダーク

部屋の空気が、ぴんと張りつめた。

入口に立っていた女の子は、長い巻き髪を指先でかき上げながら、まっすぐ桜庭朔夜を見ていた。
大人っぽくて、綺麗で、自信にあふれている。

白雪みうは思わず息をのむ。

自分とはまるで違う。
そう思った瞬間、胸の奥がきゅっと苦しくなった。

「ねえ、朔夜」

その子は、ためらいなく名前を呼んだ。
みうの肩が小さく揺れる。

朔夜くんを、そんなふうに自然に。
しかも、距離の近さを感じる呼び方で。

「急に来て悪いんだけど、ちょっと話したくて」

甘えるみたいな声。
それに対して、朔夜の返事は冷たかった。

「今は無理」

短い一言。
でもその子は気にした様子もなく、ヒールの音を鳴らしながら部屋の中へ入ってくる。

「少しくらいいいじゃん」

そう言って朔夜の近くまで来たところで、ようやくみうの存在をもう一度見た。

「その子、誰?」

まっすぐ向けられた視線に、みうはびくっと肩をすくめる。
うまく声が出ない。

すると、朔夜がみうの肩を引き寄せた。

「白雪みう」

紹介するように名前を言ったあと、朔夜は一拍置いて続ける。

「俺のだ」

その場の空気が止まる。

みうは目を見開いた。
悠たちも一瞬黙りこんで、次の瞬間、玲央が小さく口笛を吹きそうな顔をした。