流れ星に願いをこめて。

放課後のチャイムが鳴ってから、やけに時間が長く感じた。

 先生の話も、クラスメイトの笑い声も、今日はうまく頭に入ってこない。
 気づけば何度も、隣の席を見てしまっていた。

 玲央くんはいつも通り、静かな顔をしている。
 けれどノートをめくる指先がほんの少しだけ落ち着かないことに、わたしは気づいていた。

 やっぱり、緊張してるんだ。

 そう思うと少しだけ肩の力が抜けた。
 緊張しているのは、わたしだけじゃない。

 ホームルームが終わると、教室は一気ににぎやかになる。
 転校初日ということもあって、玲央くんのまわりにはすぐ人が集まった。

「朝倉くん、前の学校どこだったの?」

「部活とかやってた?」

「彼女いるの?」

 遠慮のない質問に、わたしは思わず眉をひそめる。
 玲央くんは困ったような顔ひとつせず、短く答えていたけれど、ああいうのは得意じゃないはずだ。

 帰る準備をしながら様子を見ていると、不意に玲央くんと目が合った。

 その視線が、ほんの一瞬だけわたしに助けを求めた気がした。

 仕方ない。

「ごめん、朝倉くん。先生がプリント届けてって言ってたよ」

 とっさにそう言うと、玲央くんはわずかに目を見開き、すぐに立ち上がった。