流れ星に願いをこめて。

転校生の玲央くんが来てから数日。
 教室の空気はすっかり落ち着いたようで、まだ少しだけざわついていた。

 理由はもちろん、玲央くんだ。

 目立つ。
 本人は全然そんなつもりがなさそうなのに、いるだけで目を引く。
 背が高くて、顔も整っていて、無駄にしゃべらないから余計に気になるらしい。

 女子たちは休み時間になるたび、なんとなく玲央くんの近くに集まる。
 でも彼は、聞かれたことに短く答えるだけで、自分から話を広げたりはしない。

 そのくせ。

「紗月」

 昼休み。
 わたしが次の授業のノートを探していると、玲央くんが当たり前みたいな顔でわたしの机の横に立った。

「英語のプリント」

「え?」

「さっき先生が配ってたやつ。紗月の分、後ろに落ちてた」

 差し出された紙を受け取る。
 ありがとう、と言うと、玲央くんは小さくうなずくだけ。

 それだけのやり取りなのに、近くにいた女子たちがひそひそ声を上げるのが聞こえた。

「朝倉くんって、神谷さんには話しかけるよね」

「それ思った」
「距離近くない?」

 聞こえていないふりをしたけれど、耳はちゃんと熱くなる。

 玲央くんはまるで気にしていない。
 というより、本当に気づいていないのかもしれない。

 そんな日々が続いたある日の放課後。

 文化祭の実行委員を決めることになった。

「誰かやってくれる人いるかー?」

 担任の先生がそう言った瞬間、教室はきれいなくらい静かになる。
 誰も手を挙げない。

 わたしは少し迷ったあと、手を挙げた。

「わたし、やります」

 ざわっと教室が揺れる。
 でも、こういうのを誰かがやらないと進まないのも事実だ。
 それに、やると決めたことは最後までちゃんとやりたい。