いつから、変わってしまったのだろう。
昔は、とても普通で平穏だった。
家族の仲も良好で、学校だって楽しかった。
だけど、今の私は色のない世界で、もがきながら息をしている。
いつものように、目覚まし時計の音で目が覚める。
朝の眩しい光がカーテン越しで輝いている。
その光景を見るたびに、ため息がこぼれた。
朝は嫌いだ。
また、あの地獄の時間が始まってしまう。
いっそうのこと、永遠に夜なら楽なのに……そんなことを思っているのは私だけなんだろうけど。
気怠い体を無理やり起こして、制服を着る。
出来る限り音を出さずに、リビングに向かう。
薄暗い部屋は、私の気持ちにそっくりだ。
リビングのテーブルにはゴミが散らばっていて、シンクには食器が溜まっている。
私は、冷蔵庫から冷凍食品を出して温める。
この家では数年前から、ずっとこんな感じ。
普通の家みたいな、穏やかな時間も和やかな家族の会話もない。
あるのは、静かな空気と恐怖だけ。
毎日、お母さんに怯えなくてはいけない。
また、ため息が零れそうなるのを一歩手前でグッと堪える。
結局、お母さんはリビングに来ることはなかった。
ほっと息をつくのも束の間、次は別の地獄が私を待っている。
外に出て、重たい足を運びながら私は、自分の通う中学校に行った。
着いて早々、靴箱を開けると紙が入っていた。
内容は、いつも通りだった。
「ブス」「社会のお荷物」「学校に来んな」など、色々と書かれている。
私は、その紙をクシャクシャにしてポケットに入れる。
あとで捨てておこう。
靴を履き替え、教室に向かう。
この時間すら、私にとって恐怖の時間。
それはきっと、これから起こる未来が分かってしまうからだろう。
教室に着いてしまった。
中からは、明るい元気な声が溢れている。
嫌な声が、たくさん聞こえる。
それだけで、入るのをためらってしてしまう。
喉の渇きを感じる。
手に汗が滲む。
怖い…けど、ここで立ち止まってしまったら負けだ。
浅い呼吸をして、怖気づきながら教室に入る。
すると、先程まで聞こえていた声たちが一気に静まり返る。
代わりに聞こえるのは、私への陰口だけ。
「うわ〜、あの子まだ来るの?」
「えぇ〜しぶとくない?というか、マジ迷惑なんですけどっ」
「嫌われてる自覚ないのかな?最悪。学校来んなや」
クラスメイト全員から、睨まれている気がする。
私は、下を向きながら誰一人見ないようにして席に座る。
机には、色んな人が書いたであろう悪口の数々。
黒く鋭い文字が私の心を抉ってくる。
でも、大丈夫。
もう、慣れっこだから……怖くなんてない。
ましてや、辛いなんて思っちゃ駄目だ。
弱音を見せたら、そこで終わり。
相手に自分の弱さがバレてしまえば、更に悪化してしまう。
私はただ感情を押し殺して、背景になれるように過ごせばいいんだ。
そしたら、苦しいことも辛いこともなんにもない。
大丈夫。私は、平気だ。
チャイムの音が、静かな教室に響いた。
担任の先生が入ってきて、出席確認が始まる。
「朝比奈未来。いるか?」
先生の声に、小さく「はい」と返事を返した。
しかし、小さすぎたのか、それとも私の声をわざと聞かなかったのか先生は再び私の名前を呼ぶ。
「せんせぇ〜。朝比奈さんいますよー。空気みたいに薄すぎて気づきにくいですよね〜」
その言葉に、教室が笑い声で埋まった。
大きい声に、ビクリと肩が上がってしまった。
先生は、私を見て「すまない」と小さな謝罪をして次の生徒の名前を呼ぶ。
また、注意してくれなかった。
担任は、絶対に私がいじめられていることを知っているはず。
なのに、それを見て見ぬふりをする。
さっきだって、目すら合わせてくれなかった。
随分と前からのことなので、もう諦めている。
期待するだけ失望してしまうなら…最初から期待しなければいい。
そしたら、苦しい気持ちにならなくて済むのだから。
朝のHRが終わって、先生は教室を出ていく。
クラスメイトは、仲のいい子達と集まって楽しそうに談笑する。
私は、一人ぼっち。
席に座って、出来る限り目立たないように息を潜める。
これからが本番。
長い長い、地獄の時間が本格的に始まってしまう。
憂鬱な気持ちが心を支配する。
世界の色がまた、暗く濁っていく。
大丈夫、きっと大丈夫。
毎日、そうやって過ごしているんだ。
ただ同じ作業を繰り返すだけ。
だから、何が起ころうと平気なはず。
私は、どんな時だって最悪を想定して生きているんだから。
「あ!朝比奈さ〜ん、これ職員室に持ってってー」
クラスメイトの子が、プリントの束を私の机に置いていった。
もちろん、最初から私に選択肢なんてない。
私は、プリントの束を持って教室を出る。
出る間際、背中の方からクスクスと笑い声が聞こえた。
「ほんと、朝比奈さんって便利だよね〜」
「わかる!雑用係っていうか〜?」
「あの子みたいなのには、あれぐらいがお似合いでしょう」
微かに聞こえたその言葉に、胸がモヤモヤする。
だけど、私は否定してはいけない。
分かるのだ。
否定したら、きっと悪化してしまう。
それに、何事もプラスに考えたほうがいいはずなんだから。
私は今、このプリントの束を職員室の持っていくためにあの地獄の空間から抜け出せた。
一時的ではあるけど、私にとってはありがたい休憩時間とも言える。
唯一、まともに呼吸ができる。
だから、雑用だろうとなんだろうと感謝しなくてはいけない。
そうやって生きていくのが、私の運命なのだから。
「はーい、これで授業を終わります。会長、号令」
「起立!きょうつけー。ありがとうございました」
4限目の授業が終わった。
これから給食を食べてお昼休み。
普通の子なら、この時間帯が楽しくって仕方ないだろうけど……私は学校の中で一番、この時間帯が大っ嫌いだ。
給食の時間は、まだ平和で何も起きない。
でも、その後に私の息苦しい時間が始まる。
クラスメイトが、給食を食べ終わり、騒がしくなってきた。
先生が少ないこの時間帯は、ある意味クラスメイトにとって最高のひとときとも言える。
理由は簡単で、自分たちが今からすることがバレないから。
警戒せずに、気楽に出来る。
それだけで、私の地獄はどんどん悪い方へ悪化する。
今日も、クラスメイトの女の子グループが私に近づいてくる。
あぁ…また、始まる。
「ねぇ〜ねぇ〜、朝比奈さーん。アンタ、私の彼氏に色目使ったんだって?」
根も葉もない事実だった。
しかし、カノジョは確信しているように私を睨み、問い詰める。
否定したい気持ちは山程ある。
けれど、それをした後の末路が頭に浮かぶ。
否定したら、きっと逆上して今以上に悪化するだろう。
だから、静かに嘘の事実を受け入れて黙り込むことしかできない。
「あ、図星だから黙っちゃうんだ〜。ほんと、サイテー」
「というかー、アンタみたいなブスが、人の彼氏に色目使ってんじゃねぇーよ」
「気持ち悪っ。自分が可愛いと思ってやってるんでしょ〜う?あり得なくない?」
女の子たちは、大きな声で私を嘲笑う。
周りのクラスメイトたちにも、今の内容が聞こえているはず。
心無しか、嫌悪と敵意を含んだ眼差しを向けられる。
「いや〜本当に最悪だったよ。俺には彼女がいるって知ってるくせに媚び売ってきてさぁ〜。マジ、迷惑だったよー」
カレシさんも、ヘラヘラと笑いながらそう言う。
だけど、笑みを浮かべ私を見るその目は、凍てついた氷のように冷たく鋭い。
それに気づけるのは、私だけ。
「なぁ、朝比奈。こういう時はさぁ、普通…謝罪するべきじゃないん?なに、座ってんの?」
カレシさんの言葉に、またかと言う気持ちが心のなかに現れる。
こうなった時点で大まか予想は出来ていた。
でも、いざそうなると……体が全く動かない。
しかし、動かさなければこの事態は収まらない。
無理やり動かして、土下座する。
小さな声で一言だけ。
「申し訳ありませんでした」
いつも通りの謝罪。
それだけで、彼ら彼女らは満足したのだろう。
「ふん。謝るなら最初からすんなよ、バーカ」
その言葉を残して、集団は教室を出ていった。
やっと…静かになれる。
私だけの時間が訪れる。
他の人にとっては些細な時間かもしれないが、私にとっては必要で大切な時間。
まともに呼吸ができるひととき。
だけど、それもほんの僅か。
すぐにチャイムが鳴り、クラスメイトたちが教室に戻ってくる。
その様子を見るだけで、息が詰まる。
再び、授業が始まる。
分かってはいるが、私にまともな時間はない。
今も、そう。
後ろから椅子を蹴られたり、授業で出た消しカスを投げつけられたり……しまいにはクシャクシャに丸めた紙を投げつけられる。
拾って見るに、やはり私の悪口が書かれている。
「クズ」「最低」「ビッチ」「早く学校やめろ」
悪意ある文字たちの数々を見て、気分が沈む。
それに、幾つか新しい悪口が増えている。
きっと、昼休みの一連の流れのせいだと思う。
ため息をついてしまった。
あぁ…また、「幸せ」が一つ逃げてしまった。
なんて、今の私に幸せなことなんて何一つないのだから逃げることすらできないのに。
その考え方にすら、ため息が出てきそうになる。
あと、少し耐えれば授業が終わって、この地獄のような監獄からも出ることができる。
だけど、出れたあとに私を待っているのは別の地獄。
私には、心安らかになれる場所はない。
居場所のない私は、今でもこの地獄の中を彷徨っている。
きっと、これからも変わることはない。
そう、永遠に……。
昔は、とても普通で平穏だった。
家族の仲も良好で、学校だって楽しかった。
だけど、今の私は色のない世界で、もがきながら息をしている。
いつものように、目覚まし時計の音で目が覚める。
朝の眩しい光がカーテン越しで輝いている。
その光景を見るたびに、ため息がこぼれた。
朝は嫌いだ。
また、あの地獄の時間が始まってしまう。
いっそうのこと、永遠に夜なら楽なのに……そんなことを思っているのは私だけなんだろうけど。
気怠い体を無理やり起こして、制服を着る。
出来る限り音を出さずに、リビングに向かう。
薄暗い部屋は、私の気持ちにそっくりだ。
リビングのテーブルにはゴミが散らばっていて、シンクには食器が溜まっている。
私は、冷蔵庫から冷凍食品を出して温める。
この家では数年前から、ずっとこんな感じ。
普通の家みたいな、穏やかな時間も和やかな家族の会話もない。
あるのは、静かな空気と恐怖だけ。
毎日、お母さんに怯えなくてはいけない。
また、ため息が零れそうなるのを一歩手前でグッと堪える。
結局、お母さんはリビングに来ることはなかった。
ほっと息をつくのも束の間、次は別の地獄が私を待っている。
外に出て、重たい足を運びながら私は、自分の通う中学校に行った。
着いて早々、靴箱を開けると紙が入っていた。
内容は、いつも通りだった。
「ブス」「社会のお荷物」「学校に来んな」など、色々と書かれている。
私は、その紙をクシャクシャにしてポケットに入れる。
あとで捨てておこう。
靴を履き替え、教室に向かう。
この時間すら、私にとって恐怖の時間。
それはきっと、これから起こる未来が分かってしまうからだろう。
教室に着いてしまった。
中からは、明るい元気な声が溢れている。
嫌な声が、たくさん聞こえる。
それだけで、入るのをためらってしてしまう。
喉の渇きを感じる。
手に汗が滲む。
怖い…けど、ここで立ち止まってしまったら負けだ。
浅い呼吸をして、怖気づきながら教室に入る。
すると、先程まで聞こえていた声たちが一気に静まり返る。
代わりに聞こえるのは、私への陰口だけ。
「うわ〜、あの子まだ来るの?」
「えぇ〜しぶとくない?というか、マジ迷惑なんですけどっ」
「嫌われてる自覚ないのかな?最悪。学校来んなや」
クラスメイト全員から、睨まれている気がする。
私は、下を向きながら誰一人見ないようにして席に座る。
机には、色んな人が書いたであろう悪口の数々。
黒く鋭い文字が私の心を抉ってくる。
でも、大丈夫。
もう、慣れっこだから……怖くなんてない。
ましてや、辛いなんて思っちゃ駄目だ。
弱音を見せたら、そこで終わり。
相手に自分の弱さがバレてしまえば、更に悪化してしまう。
私はただ感情を押し殺して、背景になれるように過ごせばいいんだ。
そしたら、苦しいことも辛いこともなんにもない。
大丈夫。私は、平気だ。
チャイムの音が、静かな教室に響いた。
担任の先生が入ってきて、出席確認が始まる。
「朝比奈未来。いるか?」
先生の声に、小さく「はい」と返事を返した。
しかし、小さすぎたのか、それとも私の声をわざと聞かなかったのか先生は再び私の名前を呼ぶ。
「せんせぇ〜。朝比奈さんいますよー。空気みたいに薄すぎて気づきにくいですよね〜」
その言葉に、教室が笑い声で埋まった。
大きい声に、ビクリと肩が上がってしまった。
先生は、私を見て「すまない」と小さな謝罪をして次の生徒の名前を呼ぶ。
また、注意してくれなかった。
担任は、絶対に私がいじめられていることを知っているはず。
なのに、それを見て見ぬふりをする。
さっきだって、目すら合わせてくれなかった。
随分と前からのことなので、もう諦めている。
期待するだけ失望してしまうなら…最初から期待しなければいい。
そしたら、苦しい気持ちにならなくて済むのだから。
朝のHRが終わって、先生は教室を出ていく。
クラスメイトは、仲のいい子達と集まって楽しそうに談笑する。
私は、一人ぼっち。
席に座って、出来る限り目立たないように息を潜める。
これからが本番。
長い長い、地獄の時間が本格的に始まってしまう。
憂鬱な気持ちが心を支配する。
世界の色がまた、暗く濁っていく。
大丈夫、きっと大丈夫。
毎日、そうやって過ごしているんだ。
ただ同じ作業を繰り返すだけ。
だから、何が起ころうと平気なはず。
私は、どんな時だって最悪を想定して生きているんだから。
「あ!朝比奈さ〜ん、これ職員室に持ってってー」
クラスメイトの子が、プリントの束を私の机に置いていった。
もちろん、最初から私に選択肢なんてない。
私は、プリントの束を持って教室を出る。
出る間際、背中の方からクスクスと笑い声が聞こえた。
「ほんと、朝比奈さんって便利だよね〜」
「わかる!雑用係っていうか〜?」
「あの子みたいなのには、あれぐらいがお似合いでしょう」
微かに聞こえたその言葉に、胸がモヤモヤする。
だけど、私は否定してはいけない。
分かるのだ。
否定したら、きっと悪化してしまう。
それに、何事もプラスに考えたほうがいいはずなんだから。
私は今、このプリントの束を職員室の持っていくためにあの地獄の空間から抜け出せた。
一時的ではあるけど、私にとってはありがたい休憩時間とも言える。
唯一、まともに呼吸ができる。
だから、雑用だろうとなんだろうと感謝しなくてはいけない。
そうやって生きていくのが、私の運命なのだから。
「はーい、これで授業を終わります。会長、号令」
「起立!きょうつけー。ありがとうございました」
4限目の授業が終わった。
これから給食を食べてお昼休み。
普通の子なら、この時間帯が楽しくって仕方ないだろうけど……私は学校の中で一番、この時間帯が大っ嫌いだ。
給食の時間は、まだ平和で何も起きない。
でも、その後に私の息苦しい時間が始まる。
クラスメイトが、給食を食べ終わり、騒がしくなってきた。
先生が少ないこの時間帯は、ある意味クラスメイトにとって最高のひとときとも言える。
理由は簡単で、自分たちが今からすることがバレないから。
警戒せずに、気楽に出来る。
それだけで、私の地獄はどんどん悪い方へ悪化する。
今日も、クラスメイトの女の子グループが私に近づいてくる。
あぁ…また、始まる。
「ねぇ〜ねぇ〜、朝比奈さーん。アンタ、私の彼氏に色目使ったんだって?」
根も葉もない事実だった。
しかし、カノジョは確信しているように私を睨み、問い詰める。
否定したい気持ちは山程ある。
けれど、それをした後の末路が頭に浮かぶ。
否定したら、きっと逆上して今以上に悪化するだろう。
だから、静かに嘘の事実を受け入れて黙り込むことしかできない。
「あ、図星だから黙っちゃうんだ〜。ほんと、サイテー」
「というかー、アンタみたいなブスが、人の彼氏に色目使ってんじゃねぇーよ」
「気持ち悪っ。自分が可愛いと思ってやってるんでしょ〜う?あり得なくない?」
女の子たちは、大きな声で私を嘲笑う。
周りのクラスメイトたちにも、今の内容が聞こえているはず。
心無しか、嫌悪と敵意を含んだ眼差しを向けられる。
「いや〜本当に最悪だったよ。俺には彼女がいるって知ってるくせに媚び売ってきてさぁ〜。マジ、迷惑だったよー」
カレシさんも、ヘラヘラと笑いながらそう言う。
だけど、笑みを浮かべ私を見るその目は、凍てついた氷のように冷たく鋭い。
それに気づけるのは、私だけ。
「なぁ、朝比奈。こういう時はさぁ、普通…謝罪するべきじゃないん?なに、座ってんの?」
カレシさんの言葉に、またかと言う気持ちが心のなかに現れる。
こうなった時点で大まか予想は出来ていた。
でも、いざそうなると……体が全く動かない。
しかし、動かさなければこの事態は収まらない。
無理やり動かして、土下座する。
小さな声で一言だけ。
「申し訳ありませんでした」
いつも通りの謝罪。
それだけで、彼ら彼女らは満足したのだろう。
「ふん。謝るなら最初からすんなよ、バーカ」
その言葉を残して、集団は教室を出ていった。
やっと…静かになれる。
私だけの時間が訪れる。
他の人にとっては些細な時間かもしれないが、私にとっては必要で大切な時間。
まともに呼吸ができるひととき。
だけど、それもほんの僅か。
すぐにチャイムが鳴り、クラスメイトたちが教室に戻ってくる。
その様子を見るだけで、息が詰まる。
再び、授業が始まる。
分かってはいるが、私にまともな時間はない。
今も、そう。
後ろから椅子を蹴られたり、授業で出た消しカスを投げつけられたり……しまいにはクシャクシャに丸めた紙を投げつけられる。
拾って見るに、やはり私の悪口が書かれている。
「クズ」「最低」「ビッチ」「早く学校やめろ」
悪意ある文字たちの数々を見て、気分が沈む。
それに、幾つか新しい悪口が増えている。
きっと、昼休みの一連の流れのせいだと思う。
ため息をついてしまった。
あぁ…また、「幸せ」が一つ逃げてしまった。
なんて、今の私に幸せなことなんて何一つないのだから逃げることすらできないのに。
その考え方にすら、ため息が出てきそうになる。
あと、少し耐えれば授業が終わって、この地獄のような監獄からも出ることができる。
だけど、出れたあとに私を待っているのは別の地獄。
私には、心安らかになれる場所はない。
居場所のない私は、今でもこの地獄の中を彷徨っている。
きっと、これからも変わることはない。
そう、永遠に……。


