総長の、夜よりもあぶない溺愛。

しばらくして、蓮は紗月を抱き寄せたままベッドへ一緒に横になった。
無理にじゃない。ちゃんと、紗月が嫌がっていないのを確かめるように。

毛布の中で距離が近くなる。
鼓動まで伝わりそうで、紗月は少しだけ息をひそめた。

「寒くないか」 蓮が聞く。

「ううん、大丈夫」

「ならいい」

そう言って、蓮は紗月の髪をなでる。

その手つきがあまりにもやさしくて、紗月のまぶたが少しずつ重くなる。

「蓮くん」

「ん?」

「今日、いっぱい褒めてくれてうれしかった」

「本当のことしか言ってねぇ」

「それでもうれしい」

そう答えると、蓮は少しだけ沈黙したあと、小さくつぶやく。

「もっと言ってやればよかった」

「え?」

「足りねぇくらい、おまえは頑張ってた」

胸がじんわり熱くなる。

紗月は勇気を出して、蓮の服をきゅっとつかんだ。

「じゃあ……これからも言って」

「いくらでも」

即答だった。

「おまえが不安になる前に、何回でも言う」

その約束が、夜の静けさの中でやさしく胸に残る。

危険な町の中でも。
誰かに狙われても。
こうして隣でぬくもりをくれる人がいる。

それだけで、紗月は少しずつ強くなれる気がした。

そして蓮は、そんな紗月を抱きしめながら改めて思う。
この子はもう、自分の世界の真ん中にいるのだと。