総長の、夜よりもあぶない溺愛。

蓮は紗月の頬に触れたまま、じっと見つめてくる。

「桐生にまで特別って言われてたし」

「そ、それは……」

「白石も相沢も神崎も、みんなおまえに甘い」

「でも蓮くんがいちばん甘いよ」

思わずそう言うと、蓮の動きが止まった。

「……自覚あんのか」

「少しは」

正直にうなずくと、蓮は困ったみたいに笑う。

「だったら分かるだろ」

「何が?」

「これ以上、他のやつに向けて笑うなって言いたくなる気持ち」

その言葉に、紗月の頬がまた熱くなる。

でも、不思議と嫌じゃない。
重たいはずの独占欲なのに、そこにあるのがやさしさだと分かるから。

「じゃあ蓮くんも」

「ん?」

「他の子にやさしくしないで」

自分で言ってから、紗月ははっとする。
こんなの、かなりわがままだ。

でも蓮は驚いたあと、ふっと笑った。

「……それ、嫉妬?」

「ち、違……」

言いかけて、でもごまかせない。

「ちょっとだけ」

蓮の目が一気にやわらかくなる。

「可愛い」

「またそれ……」

「だって可愛い」

そう言いながら、蓮は紗月の手を自分の胸の上へ連れていく。

どくどくと、強い鼓動が伝わる。

「おまえのことで、こんななる」

「……っ」

「他のやつの話してるだけで、余裕なくなる」

そんなことをこんな近くで言われたら、もうどうしたらいいか分からない。

紗月は照れながらも、小さく言う。

「私も……」

「ん」

「蓮くんが誰かに取られたら、やだ」

一瞬、空気が止まる。

蓮はまっすぐ紗月を見たあと、深く息をついた。

「無理」

「え?」

「今のは無理。理性削れる」

苦しそうに言いながら、蓮は紗月の額にこつんと自分の額を寄せた。

「安心しろ」

低くて、やさしい声。

「俺がおまえ以外見ることはねぇよ」

その断言がうれしすぎて、胸がいっぱいになる。